正月に食べるお祝いのおせち料理は、五節句の料理の1つで「お節供(おせちく)料理」の略語です。平安時代に宮中で行われた、神にお供えをして宴を催した「お節供(おせちく)」の行事に由来してするといわれ、江戸時代後期に庶民の間にこの行事が広まり、節句の1番目にあたる正月の料理の名称として使われているのです。おせち料理の起源は実は非常に古く、弥生時代の紀元前2~3世紀ともいわれます。季節ごと節目に収穫の喜びを神に感謝して「節供」とよばれる収穫物を供え、この供えたものを料理して自然の恵みに感謝して食べられたのが「節供料理」の始まりといわれているのです。
おせち料理が重箱に重ねて詰められるのは、お目出度いを重ねるという願いからです。一の重、二の重、三の重、与の重の四段重ねで、四段目の、「四」は「死」が連想されることから与の重と呼ばれます。一の重には、黒豆や数の子、田作り(カタクチイワシの幼魚の乾燥品)などの祝い肴。二の重には甘い伊達巻きや栗きんとん、三の重は海の幸、エビや魚料理、与の重には山の幸、煮物や野菜類が詰められるのです。
黒豆には、「まめに働き」、「まめ(健康)」に暮らせるようにという願い。沢山卵がある数の子には子孫繁栄、田作りには五穀豊穣、エビには腰が曲がっても元気にすごす長寿の願い。コンブ巻きは「よろこぶ」の語呂合わせ、栗きんとんは、「金団」の語呂合わせで富を象徴する縁起もの、紅白なますは紅白のお目出度い色の組み合わせ。それぞれの料理には、お祝いや健康を願う意味が込められているのです。
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